記事一覧 | 2022.09.12

ウェルビーイングとは

ウェルビーイング(Well-being)とは、「幸福」とか「満たされた状態」といった意味で使われている言葉です。

今から70年以上前にWHO(世界保健機関)憲章の前文に掲載されたことに端を発する言葉ですが、

なぜ、今、注目を集めるようになったのでしょうか?

 

目次

1.ウェルビーイング(Well-being)とは?どんな意味?

2.ウェルビーイングでいるための基本の“5つの要素”

1 キャリア・ウェルビーイング(Career Wellbeing)
2 ソーシャル・ウェルビーイング(Social Wellbeing)
3 フィナンシャル・ウェルビーイング(Financial Wellbeing)
4 フィジカル・ウェルビーイング(Physical Wellbeing)
5 コミュニティ・ウェルビーイング(Community Wellbeing)

3.なぜ、今、ウェルビーイングが注目されているの?

 

 

1.ウェルビーイング(Well-being)とは?どんな意味?

 

ウェルビーイングという言葉は、1946年のWHO(世界保健機関)設立時に掲げられた憲章の中で初めて公に使われました。

 

「Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.」

~健康とは、病気ではないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが 満たされた状態にあることをいいます。~(日本WHO協会仮訳)

 

日本WHO協会では「満たされた状態」と訳されていますが、ほかにも「良好な状態」「幸福」「よく生きる」などと訳されることもあります。
大切なことは、心身の健康だけでなく“自分をとりまくさまざまな要素が良好な状態であり、また、その状態が継続している”ということです。
一時的によいことがあって幸せな気分になるといったことではなく、満たされた状態が続くこと。それがウェルビーイングです。

2.ウェルビーイングでいるための基本の“5つの要素”

 

では、自分をとりまくさまざまな要素とは、どういったものが挙げられるでしょうか?
アメリカの世論調査およびコンサルティングを行う企業であるギャラップ社が「元気で充実した人生を生きるために何ができるか」というテーマに基づき、世界150カ国において調査を重ねてきた結果、ウェルビーイングであるために満たされるべき5つの要素が見えてきました。

 

1 キャリア・ウェルビーイング(Career Wellbeing)

仕事に限らず、ボランティア活動や子育て、学習など“一日の大半を費やしていること”がキャリアです。

 

2 ソーシャル・ウェルビーイング(Social Wellbeing)

人間関係における幸福。強い信頼と愛情でつながっている人間関係をもっているかどうかがポイントです。

 

3 フィナンシャル・ウェルビーイング(Financial Wellbeing)

経済面での幸福。自分の資産を管理・運用できているか、報酬を得る手段をもっているかどうかなど、お金にまつわる項目です。

 

4 フィジカル・ウェルビーイング(Physical Wellbeing)

身体的な幸福。日々のやりたいこと、やるべきことを十分な活力をもって行うことができる健康状態であるかどうか。

 

5 コミュニティ・ウェルビーイング(Community Wellbeing)

地域社会における幸福。住んでいる地域と深く関わっているかどうか、つながっている感覚があるかどうかなど地域との関係性です。

 

ギャラップ社ではこれらの要素がすべて満たされてはじめてウェルビーイングであると定義しました。
とはいえ幸福を感じる状態などは国民性や宗教観などによっても変わってくるのは当然のこと。日本人には日本の文化や民族性に合ったウェルビーイングがありますが、それは当協会(一般社団法人ウェルビーイング・ライフスタイル協会)の活動を通して明らかになっていくでしょう。

 

 

3.なぜ、今、ウェルビーイングが注目されているの?

これまで経済的、物質的な豊かさを追求してきたことで、地球温暖化や格差の拡大などさまざまな問題を招いてきたことから、包括的な豊かさを求める動きが世界的に活発化しました。

国連で2016年から2030年の15年間で達成すべき目標として掲げた「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」をご存知の方は多いでしょう。「SDGs(エス・ディー・ジーズ)」という呼び方のほうが、なじみがあるかもしれません。

SDGsでは「貧困をなくそう」とか「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」、「働きがいも経済成長も」といった15項目の目標が掲げられましたが、その中で「すべての人に健康と福祉を=Good health and well-being」も目標とされています。

 

このような流れを受けて、世界各国で国民のウェルビーイングを高める動きが高まっています。

たとえばニュージーランドでは2019年5月に「ウェルビーイング・バジェット」を発表しました。国や国民の幸福のために大々的に予算が組まれるのは世界で初めての試みです。
アイスランドのヤコブスドッティル首相が呼びかけた“経済成長の指標にとらわれない、環境や家庭を重視する予算編成”である「ウェルビーイング政策」の推進はたくさんの国が共鳴しました。

日本でも2019年から施行が始まった「働き方改革関連法」が就業面からのウェルビーイングの向上の足がかかりになると考えられています。

 

ウェルビーイングが高まると経済も上向きに!?

個々のウェルビーイング向上と経済の発展は反比例の関係にある、つまり個人の生活を優先すると仕事は低下すると思われがちですが、そんなことはありません。

米イリノイ大学の研究では「幸福度の高い従業員の創造性は3倍、生産性は31%、売上は37%高い」という結果がでています。つまり社員の幸福度を高めれば企業が成長することになるので、企業でも積極的にウェルビーイングの推進を行うようになりました。

また、Googleでは「テクノロジーとの健全な関係を構築し、適切に管理しながらメリットを最大限に受けること」を“デジタルウェルビーイング”とし、Android OSにもそのための機能を搭載。
SNSの広がりによる匿名性における心無い批判、つながらなければという強迫観念など、ネガティブな側面がクローズアップされがちなネットにも、デジタルウェルビーイングを取り入れる動きが広がっています。

ウェルビーイングは福祉や医療で使われることが多かった言葉ですが、このようにしてビジネスやテクノロジーなど、さまざまなシーンへと広がりを見せています。

自分自身がよりよく生きることが、世界をよりよくするのですから、ぜひ、みなさんもどうしたらもっと幸せに、快適に暮らすことができるのか、考えていきましょう。