記事一覧 | 2022.10.06

食品で善玉菌を取り入れて腸内のいい菌を元気に

人の心身の健康は、腸内環境から大きな影響を受けるということは既にご紹介しました。今回は腸内環境を整える方法、中でも腸によい食べ物についてご紹介していきます。早い人では1週間程度で腸内環境は改善し始めるといわれています。早速始めて、心身ともに快適な状態を手に入れましょう!

 

 

 

腸によい食品というと、多くの人は真っ先にヨーグルトを思い浮かべるのではないでしょうか? 腸内環境とはつまり腸内の細菌バランスのよしあしなので、ヨーグルトのような発酵食品によって善玉菌を取り入れることは大切です。
このような体に対して有益な働きをする微生物のことを「プロバイオティクス」といいます。

ヨーグルトも優れた発酵食品ではありますが、ヨーグルトに含まれるカゼインが腸に負担をかけてリーキーガット症候群を起こす可能性が指摘されています。また、腸内細菌バランスは多様性が重要なので、ヨーグルト1点集中ではなく、さまざまな発酵食品をとるようにしましょう。

たとえば日本人は昔から漬物を食べてきたので、植物性乳酸菌が腸に合っているといわれています。ぬか漬けやしば漬けど、漬物もぜひ取り入れてください。ただし、漬物味の汁に漬け込むだけの漬物風食品では乳酸菌が含まれないので注意を。

もちろんピクルスやザワークラウト、キムチなど、海外の漬物類でもかまいません。献立に合わせて取り入れてみましょう。

 

ものすごく強い納豆菌は腸内でも大活躍

 

ヨーグルトに並ぶ発酵食品の代表格、納豆も忘れてはいけません。

納豆菌はとにかく強く、胃酸に負けずに腸まで届き、爆発的に増えていきます。ある実験結果ではひとつの納豆菌が16時間後にはおよそ40億個にもふえたのだとか。

納豆の活動によって代謝される物質は、乳酸菌やビフィズス菌のエサとなるため、納豆菌が増えると自然と乳酸菌やビフィズス菌も増えて、腸内環境改善が加速します。

また、味噌や醤油などの調味料も発酵食品です。最近では甘酒や塩こうじ、醤油こうじなどを調味料として使う人も増えています。腸によいのはもちろん、味がまろやかになると好評です。

また、お酒でも日本酒やワイン、ビール、マッコリなどの醸造酒は発酵食品です。焼酎やウイスキー、ブランデーなどの蒸留酒は糖質がなくダイエットには向いていますが、腸内環境改善に役立てるなら醸造酒がベター。ただし、お酒の飲みすぎは腸内環境悪化につながるためほどほどに。

 

腸内の善玉菌のエサとなるオリゴ糖や食物繊維をとる

 

善玉菌がとれる食品プロバイオティクスに対して、その善玉菌のエサとなり活動を応援する食品を「プレバイオティクス」といいます。

プレバイオティクスの代表はオリゴ糖や食物繊維です。

オリゴ糖は約20種類ほどあり、小腸などで吸収される消化性のもの、消化されずに大腸まで届く難消化性のものとに大別できます。善玉菌のエサになるという役割を考えれば、難消化性のものがよいでしょう。

難消化性のオリゴ糖で、シロップなどの甘味料としても入手しやすいものをご紹介します。

・フラクトオリゴ糖
にんにくや玉ねぎ、アスパラ、ごぼうなどに少量含まれています。

・ガラクトオリゴ糖
母乳に含まれているオリゴ糖です。

・ラフィノース
甜菜(ビート)からとれるオリゴ糖です。
ヨーグルトにオリゴ糖シロップをかけるなど、プロバイオティクスと一緒に摂取するのがおすすめです。

 

水溶性食物繊維は腸のバリア機能を高めてくれる

 

食物繊維には水に溶けないため腸の中でふくらんで腸を刺激したり腸壁の掃除をしてくれる不溶性と、水に溶けてゲル状になることで便の移動をスムーズにしてくれる水溶性とがあります。

食物繊維が豊富な食材として名前があがるゴボウやサツマイモ、きのこなどは不溶性食物繊維が中心です。水溶性食物繊維が豊富な食材や海藻類やりんご、キウイなどの果物、ネバネバ食品など。

海藻類や果物は摂取量が減少傾向にあるため、水溶性食物繊維も不足しがちです。

便秘解消のために食物繊維を一生懸命に摂取したらお腹がパンパンになって苦しくなったという人も少なくないでしょう。それは不溶性の食物繊維ばかりを摂取してしまったことが原因です。水溶性の食物繊維もしっかりとるようにしてください。

 

水溶性の食物繊維が大切な理由は、便秘改善だけではありません。
善玉菌が食物繊維を発酵させると短鎖脂肪酸という物質を作り出すのですが、水溶性の食物繊維は発酵されやすく短鎖脂肪酸をたくさん生み出すことができます。
短鎖脂肪酸には大腸のバリア機能を高めて漏れ腸と呼ばれるリーキーガット症候群を防いだり、腸内を悪玉菌が嫌う産生に保って腸内環境改善を助けたりといった働きがあります。

 

水溶性食物繊維のイヌリン(チコリやごぼうなどに含まれる)やペクチン(りんごなどに含まれる)は短鎖脂肪酸をたくさん生み出してくれます。
食事で気をつけるのはもちろん、粉末なども市販されているので取り入れてみるのもよいでしょう。

 

 

オリーブオイルやコーヒーも腸によい食品

 

ほかにも腸によい食品はいろいろとあります。

たとえばエクストラバージンのオリーブオイルは腸の蠕動運動を促して排便をスムーズにするといった働きがあり、腸のクレンジングに役立ちます。

また、コーヒーもおすすめです。日本で行われた研究でもコーヒーを1日2杯以上飲んでいる人は飲んでいない人に比べて腸内細菌叢がよい状態だったという結果がでています。
また、腸内環境は認知症にも影響するのですが、1日3~5杯コーヒーを飲む人は1日2杯以下の人と比べるとアルツハイマー型認知症の発症率が65%も低かったという研究結果もあります。

ほかのさまざまな研究でも1日3杯程度のコーヒーは健康効果に優れているという結果がでています。

特別なものを取り入れなくても、週に30品目以上の野菜や果物を食べている人の腸内細菌は多様性に優れているという報告もあります。週に30品目であればそれほど難しくはありません。いろいろなものを食べるということを心がけていきましょう。