記事一覧 | 2022.09.22

腸を整えれば不調一掃、全身快適になる理由

 

新型コロナの流行で免疫力を高めることへの関心が集まり、免疫力の要である腸もクローズアップされるようになりました。とはいえまだまだ腸を整えること=感染症予防・便秘改善程度に思われているようです。

しかし、実際には腸や腸内細菌は体全体をコントロールしているといっても言い過ぎではないぐらい、重要な働きをしています。今回は知れば絶対に腸活したくなる、そんな腸の働きについてご紹介します。

 

 

 

腸は命という本丸を外敵から守るための最後の砦

 

 

腸が重要な器官である理由のひとつは、体の免疫力の6~7割を腸が担っているということです。

腸は食べたものから栄養や水分を吸収する器官。体を城にたとえるなら口や鼻などは城壁の門であり、腸は城そのものの出入口といえます。このように体を守るための最後と砦であるため、守りが固められているのです。

私たちはこのような免疫機能が自動的に働いてくれるため、つねに「外敵に脅かされている」ということを意識することなく生活できています。そのありがたさについて痛感させられたのが新型コロナの流行です。

新型コロナがこれほど深刻な事態になったのは、新型コロナが猛毒だったわけではなく、新しい脅威であったため人が免疫をもっていなかったからです。免疫力がなければ、人はちょっとした外敵に遭遇するだけでも命を脅かされてしまうのです。

 

 

免疫細胞は腸内細菌に助けられて働いている

 

腸内の免疫機能は小腸の終わりのほうにあるパイエル板という部分に集められています。パイエル板は腸特有のリンパ組織で、そこにさまざまな免疫細胞が集まり、外敵の侵入に備えているのです。

しかし、しっかり免疫を働かせるためには免疫細胞だけでは十分ではありません。免疫細胞をサポートする腸内細菌が必要なのです。免疫細胞の中には状況に応じて必要な形態に変化するものがありますが、腸内細菌はその変化を助けるといった働きをしているのです。そのため腸内環境が乱れると免疫力が低下してしまいます。

免疫力が低下すると感染症などにかかりやすくなるだけでなく、アレルギーも起こりやすくなります。本来、体に害をおよぼさない物質は侵入してきても腸内細菌が識別してスルーしています。しかし、腸内細菌のバランスが偏ったりすると、スルーすべきものに対しても過剰に反応して免疫反応を起こしてしまうのです。

 

 

腸内細菌バランスが乱れると腸バリアが弱まる

 

腸内細菌は体の最後の砦である腸を守るために、腸壁の表面にバリアを形成するという重要な働きも行っています。そのため細菌バランスが乱れると、バリア機能が低下して腸壁の守りが弱まりスカスカ状態に。このような腸は漏れ腸(以下、リーキーガット症候群)と呼ばれています。

腸壁バリアが弱まれば外敵が侵入しやすくなるため、当然、感染症にもかかりやすくなりますが、他にも大きな問題が発生します。それは体内で炎症が起こり続けるということです。

腸内にはリポ多糖類(LPS)という物質があり、これが腸内細菌を守ったり免疫細胞を助けたりしているのですが、体内に侵入すると強い炎症反応を引き起こすのです。

炎症は虫にさされたときや捻挫したときに腫れて痛みを起こすとか、細菌に感染して発熱するなど、体が何らかの原因によりダメージを受けたときに免疫活動を集めることで起こる回復のために重要なプロセス。ですからこのような急性期に起こる短期間の炎症は問題ありません。問題は長期的に続く慢性炎症です。

炎症は「炎」という文字が使われるように、体にダメージを広げないために行われる荒療治でもあります。その荒療治が長時間続けば、大きなダメージを受けるのは当然といえるでしょう。

 

 

糖尿病やアルツハイマーなど、漏れ腸でさまざまな病気が起こる

 

慢性炎症のやっかいなところは弱く長く続くため、自分では気づかないうちに深刻な状況になっているということです。

炎症によって起こる病気は喘息やアトピー性皮膚炎といったアレルギーや炎症性の腸疾患、関節リウマチ、糖尿病、パーキンソン病など実にさまざま。そして腸が影響しているかもしれないということはあまり知られていません。

さらに、リーキーガット症候群は脳にも大きなダメージを与えていることがわかってきています。脳というのは身体にとって中枢であるため、本来は堅牢な関門があり厳重に守られています。しかし、リーキーガット症候群によって流れ込んだある物質がその関門をゆるめてしまうという専門家もいます。そうなると学習障害やアルツハイマー型認知症などのリスクが高まるというのですから一大事です。

脳の関門をゆるめてしまうという物質はグルテンに含まれているたんぱく質成分です(グルテンなど、腸や脳に負担をかける成分に関しては、また別の機会にしっかりご説明します)。

腸から漏れ出た物質が炎症を起こしているなんて本当かな? と思われるかもしれませんが、たとえばアルツハイマー患者の血液の中からは、そうではない人の3倍のLPSが見られたという報告もあるのです。

 

 

腸を整えるだけでさまざまな不調がよくなるかも

 

ほかにも腸では神経伝達物質のセロトニンの生成なども行われているため、メンタル状態にも深く関わっています。腸内細菌バランスによって心穏やかな状態にも、うつうつとしたり不安になったり、またはイライラした状態にもなるのです。

また、太りやすさや痩せやすさといったことも腸内細菌が大きく関わっています。

このように見ていくと全身状態の中で腸が関わっていないことのほうが少ないといえるでしょう。逆にいえば腸を整えていけば、一発逆転、全身すこぶる好調という状態にも変えられるということです。

これから腸を整えるための食事や生活ポイントもご紹介していきますので、ぜひ快適な体を手にいれていきましょう。