睡眠の質と時間が充実すると腸も元気になる
腸内環境を整えるための「腸活」というと、食生活の改善ばかりがクローズアップされがちですが、生活習慣の改善も大切です。腸が元気になれば心身の健康状態が大きく底上げされるので、ぜひ積極的に取り組んでいきましょう。
生活習慣の中でまず見直してもらいたいのが睡眠です。規則正しく、十分に睡眠がとれているでしょうか。
睡眠の質や時間が充実していると、腸内細菌の多様性も比例して充実するということがわかっています。そして心身の健康のためには多様性のある腸内フローラであることが重要だということもわかっています。
また、しっかり睡眠がとれていると短鎖脂肪酸を作り出す善玉菌が増えるという報告も。
このように睡眠のよしあしは、腸内細菌バランスに大きな影響を与えているのです。
腸内細菌バランスが悪いと眠りの質が悪くなる
一方で、腸内細菌もまた睡眠に大きな影響を与えています。
腸内細菌バランスが悪ければ、睡眠ホルモンメラトニンも十分に作り出せないため、寝つきが悪い、眠りが浅いといった睡眠トラブルにもつながります。
また、不眠とうつは強く相関していますが、腸内細菌バランスが悪いとうつにも影響します。
このように睡眠と腸内細菌バランスはお互いに影響し合っているため、相乗効果でどんどんよくなることも、負の連鎖でどんどん悪くなることもあり得るということです。
腸と睡眠、ともに改善していくことが大切
現在、寝つきが悪いといった睡眠トラブルを抱えている人は、まずは集中的に腸活をしてみましょう。
プロバイオティクスとともにプレバイオティクスを摂取する、1週間で30品目以上の野菜や果物をとるといったことです。
腸活をしても便秘がよくならない、効果を感じないという人がいますが、量が足りていないケースも少なくありません。1日にヨーグルトを1個とる程度では、なかなか効果は実感できません。
水溶性食物繊維と不溶性食物繊維が豊富でグルテンも含まないため現在大人気となっているオートミールを主食として取り入れてみるなど、3食を徹底して「腸によい」ということにフォーカスし1~2カ月は続けてみましょう。
理想の睡眠時間は死守する
同時に睡眠によい生活リズムに切り替えるということも大切です。
十分な睡眠時間は人によって違いますが、さまざまな統計データから健康的な睡眠時間は7時間半から8時間程度だということがわかっています。朝、スッキリ目覚められて日中眠くならないためにはどの程度の睡眠時間が適当なのかを探っていきましょう。
また、できるだけ就寝と起床時間はできるだけズラさないことも大切です。やらなければいけないことややりたいこともあると思いますが、心身の健康のためですからまずは睡眠時間を確保し、それに合わせて生活をしてみてください。
睡眠ホルモンは光の影響を受けるので、夜になったらあまり強い光を浴びないように注意を。照明は白熱灯の間接照明にする、テレビやパソコン、スマホはなるべく見ないといった工夫が必要です。そして朝になり起床をしたらカーテンを開けて朝日をたっぷり浴びると睡眠ホルモンが止まって眠気も引いていきます。
運動をすると腸内細菌に多様性が生まれる
意外に感じるかもしれませんが、運動も腸内細菌バランスに影響を与えます。
アイルランドでラグビー選手と一般の人の腸内細菌を比較するという研究が行われ、ラグビー選手のほうが腸内細菌に多様性が認められました。
今のところなぜそのようなことが起こっているかわかっていませんが、運動もしくは食事で摂取する大量のたんぱく質が影響しているのではないかと考えられています。
また、別の研究では1日1万歩以上の散歩を2週間以上続けた人は大腸での便の滞留時間が8時間も短くなったそうです。便が長時間滞留すれば腐敗が進んで腸内環境に悪影響を及ぼすのは容易に想像ができるところ。
ラグビーを始めろといわれても難しいですが、日々散歩をすることならできるのではないでしょうか。
1日の中で断食時間を作って腸を休ませる
人間でも働きっぱなしでは疲弊してしまいますが、それは腸も同じです。
適度に食事をとらない時間=プチ断食をして腸を休ませてあげましょう。
やり方はいろいろですが、たとえば1日の中で食事をするのは8時間以内にとどめて16時間は断食をするという方法も効果的です。朝食は抜いて12時に食事をしたら、夕食は20時までに食べ終えるということ。朝食を食べるなら朝食を食べたあと8時間以内に最後の食事をしましょう。
1日3食しっかり食べたいという人は週に1日何も食べない日を作るという方法も。
最初はつらいかもしれませんが、慣れてくると体も頭もスッキリして調子がよくなってきます。アンチエイジング効果もあるので、美容を気にする人にもおすすめです。
腸内細菌の大敵ストレスをコントロールする
腸はストレスに弱い臓器です。適度なリラックスを心掛けていきましょう。
睡眠を改善して適度な運動を心掛けるだけでも十分、ストレス改善効果は期待できますが、ゆっくりお風呂に入る、イライラしたり緊張していると感じたら深呼吸をするといったことを行ってください。
自律神経は名前の通り自律している神経なので、自分でコントロールすることはほとんどできません。しかし呼吸は例外だといわれており、深く息を吐くことでリラックスの副交感神経が高まる、浅く早く息を吸い込むことで緊張の交感神経が高まるといわれています。心身をゆるめたいと思ったら、ゆっくり長く息を吐きましょう。