記事一覧 | 2022.11.17

眠りのホルモン分泌のカギを握る幸せホルモン

よい睡眠を得るためには、日中と夜とのメリハリが大切です。日中はしっかり太陽の光を浴びて通勤時間を利用したウォーキングをしてみましょう。重要な仕事やストレスがかかる仕事はなるべく早めの時間帯に行い、夕方以降は心身がリラックスできるよう仕事も生活リズムに合わせてペース配分するのが理想的です。

眠りのホルモン分泌のカギを握る幸せホルモン

 

眠気を起こして人を眠りにいざなうのは「メラトニン」というホルモンです。つまり、寝つきをよくする、質のいい眠りを得るなど睡眠を改善したい人は、メラトニンをしっかり分泌させることが大切。

メラトニン分泌のカギを握るのは「セロトニン」。メラトニンは聞いたことがない人でも、セロトニンという名前は耳にしたことがあるのではないでしょうか。セロトニンは“幸せホルモン”とも呼ばれていて、気持ちを穏やかに保つために欠かせないホルモンです。気持ちを落ち着かせることでストレス耐性が高まり集中力も上がるため、仕事や勉強の効率も上がります。

なぜ、セロトニンがメラトニン分泌のカギを握っているかというと、セロトニンを材料としてメラトニンが作られるからです。日中はセロトニンによって気分よく集中して活動し、暗くなってくるとセロトニンを元にメラトニンが作られて心身は徐々にお休みモードに。夜には自然と眠りにつくのです。そして朝、光を浴びるとメラトニンの分泌は止まり、セロトニンの分泌が始まって1日がスタートします。

 

 

セロトニンを増やす生活習慣を取り入れよう

 

セロトニンの分泌を高めるためには、まず、朝しっかりと朝日を浴びることが大切です。起きたらすぐにカーテンを開けて、朝日を部屋に招き入れましょう。寝起きが悪いという人は、寝室が暗すぎるのかもしれません。カーテンを薄くする、少し開けておくなどして、部屋に光が入るようにしておくと、少しずつ脳が目覚めていきスッキリ起きられるようになります。

北欧など北に位置する国では、日光を浴びる機会が減る冬場にはセロトニン不足によりうつ病が増加します。日本でも日照時間が短くなるとうつ病までいかなくても、気分が沈んでしまうことが増えるのは自然なことです。そんな時は、日中に外に出て太陽を浴びる時間を増やすとか、部屋の照明を1段階明るいものに変えるといった工夫をしてみましょう。

また、セロトニンはリズミカルな運動により分泌が促されるので、朝食をリズミカルに噛んで食べるよう意識するとよいでしょう。また、出勤時の歩行も同様です。テンポよく一定のリズムで歩くことでセロトニンがしっかり分泌されるでしょう。リモートワークで出勤する必要がないという人も、太陽光を浴びるためにも10分程度でよいので家の周りを散歩するのがおすすめです。

セロトニンはトリプトファンというアミノ酸から作られるので、トロプトファンが含まれる大豆・豆製品や、乳製品、バナナといった食品と、合成に必要なビタミンB6が含まれる玄米やレバーまぐろなどの赤身の魚を食べるようにしましょう。

 

短時間昼寝で午後の集中力を高める

 

午後、特に昼食後は眠気を感じやすいものです。そんな時は15~20分程度昼寝をすることで、その後の集中力が高まることがわかっています。

ポイントは座ったまま寝ること。横になってしまうと筋肉が弛緩して本格的な睡眠に入ってしまい、頭がボーッとしてしまいます。また、30分以上寝たり、15時以降に昼寝をしたりすると夜眠れなくなるのでやめましょう。
寝る前にコーヒーを飲んでおくと、目覚めるころにカフェインが効いてすっきり起きられます。

このような短時間の昼寝はパワーナップとも呼ばれています。生産性を高めるためにパワーナップを推奨する企業も増えており、パワーナップ用の枕なども市販されています。
高齢者でも短時間の昼寝は認知機能低下を緩やかにするという報告もあり、昼寝が脳によい影響があるのは確実そうです。ただし、時間的な制約がない人でも、くれぐれも昼寝は30分以内に。

 

 

仕事配分は自律神経のリズムに合わせて決める

日中は自律神経が集中モードの交感神経優位の状態になっています。しかし、そのピークも15時ごろまで。そこからは次第に下り坂となり、リラックスモードである副交感神経優位な状態に入っていき、19時ごろには交感神経と副交感神経とが逆転します。

夜になっても忙しく働いていると、うまく副交感神経に切り替えることができず、寝つきも悪くなってしまいます。集中しなければいけない仕事はなるべく15時ごろまでにこなしておくほうが1日のリズムが作りやすくなります。パフォーマンスも上がるので、長時間労働をせずにすむかもしれません。

現代人の自律神経はストレスや過多な情報により、交感神経優位な状態になりがちだといわれています。そのため副交感神経が司る消化・吸収がうまくできなくて便秘や下痢といった胃腸トラブルが起こったり、血流が悪くなって冷え性や肩こりなどが起こったりとさまざまなトラブルが起こります。交感神経が優位な状態では寝つきが悪かったり、眠りが浅かったりもします。

体内時計と自律神経は密接に関係しています。体内時計のリズムに従って暮らすということは自律神経を整えることにもつながります。病院に行くほどではないけれどもつらいというようなちょっとした不調を抱えている人は、生活リズムを整えるだけで改善する場合も多いのでぜひ1日のリズムを大切にしてください。

 

次回は、とても大切な夜の過ごし方についてご紹介します。